日記 2023年3月4日
7時に二度寝から起きる。希望の朝だ。
今日からビッグランが始まった。
ビッグランとは、スプラトゥーン3内のゲームモードの1つであるサーモンラン(通称バイト)のイベントで、特別なステージでハイスコアを目指すものである。
サーモンランとは、4人で協力してシャケを倒して、落とした金イクラを時間内に指定された個数以上コンテナに納品することを目指すPvEモードである。
言葉じゃ全然わかんないね。
開始する午前9時からぶっ続けで6時間プレイした。
友達も付き合ってくれた。
普段と違うステージのため、上達している実感があることが特に楽しかった。
疲労が溜まってきたので、楽しいうちに通話を切って生活に戻る。
サーモンランは、実際のバイトに似ていて、やることが多いときに自分で素早く優先順位を付ける力が重要となる。
近くのオオモノシャケを倒すか、遠くの強いオオモノシャケを倒しに行くか、落ちてる金イクラの納品に回るか。
それともザコシャケ処理か?コンテナ周辺の塗り確保もしたいし、やられそうな味方の援護に行きたいし、やられた味方の救助もしないといけない。
ちょうどバイトのこういうところが苦手なんだよな、と救助を待ちながら考えたりしている。
バイト中の僕は、やることの多さに脳を爆発させたり、ミスコミュニケーションを起こしたりすることがよくある。
始めてすぐの頃は、慣れれば起こらなくなると思っていたが、そんなことはなく。
ただ、業務上のミスになる前に防ぐことができることが多くなった。
そして、それでいいんだなと今は思っている。
バイトは、良くも悪くもバイトであり、自分に限らず、完璧な人間はいないということを実感する機会が多い。
そして、お互いの足りない部分を補い合いながら働いている。
これに関しては優しいとかじゃなくて、そうしないと仕事にならないから。
自分が苦手なことやわからないことを自覚して、受け入れることは、大切だ。
その上で、時間をかけたり確認を増やしたり他の人に頼ったりして、欠点を補う方向に進んでいけたことを、良かったと思っている。
布団の中で1人、だんだん眠くなろうとしているときも、自分が苦手なことについて考えることがある。
僕にとって大切な、無駄な時間。
この時間のおかげで僕は、自分の社会に適合できない部分を受け入れることができた。
できない自分に失望しなくなった。
精神的に安定してきて、「全てが無理な日」も減っている気がする。
これはバイトを始める前の話。
こうやって自分自身で欠点と向き合えているならバイトは関係ないと思われるかもしれないが、自問自答にはリスクがあって。
いつの間にか僕は、社会生活が苦手なことを自覚して受け入れた上で、それが自分の中でアイデンティティになりつつあった。
そのせいで、自分の可能性を狭めてしまっていた。
これは怖いことだと思う。
自分を諦めないこと、すごく難しいことだけど、少しずつ出来るようになりたい。
イヤホンで爆音の音楽を聴きながら洗濯をする。
余計なことを考えずに済むように、聴き慣れているアルバムを聴く。
ご飯を食べて皿を洗って洗濯物を干す。
聴覚を支配されることで自分のコントロールを得る感覚。
家事が終わったので、1人でビッグランに潜ってみる。
1人でも世界の誰かとマッチングして4人チームになる。
意思疎通があまり取れず、うまくいかない。
足を引っ張ってることを自覚する。
上達するために必要な過程だと思うので特に嫌だったりはしないが、これが苦しい人もいるんだろうな。
「ゲームだから」で割り切れる人ばかりではないし。
実際のバイトも似たようなところがあるが、先輩と後輩がはっきりしている分そういう罪悪感は少ない気がする。
バイト先の社員の転勤が決まったらしい。
僕は悲しかった。
社員と言っても、バイトの頃から知っている先輩だ。
なんなら始めた日も半年くらいしか違わない。
時間帯も被っていたので、よく2人で閉店作業をしていた。
先輩は週5で入っていたので、僕が週3で入って週に2日は先輩と2人、みたいな期間が半年近くあった。
先輩は、完璧だった。
先輩は、とにかく気配りができる人だった。
誰よりも沢山働いている上に、誰よりも一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしていた。
それが一番大変な道であることを僕は知っている。
でも、先輩はそれをできてしまう。
「苦手な人と一緒に働くのって辛いと思うから」と、なんてことないように言っていた。
店が暇なときは、いろんな話をした。
後輩についての悩みを聞いた日もあった。
ここで働く前の話をしたこともあった。
店が忙しい日は、話さずとも一体感が生まれた気がした。
帰り際に「私たちが辞めたらこの店は終わるね」なんて言って笑ったりもした。
僕は先輩と一緒のバイトが一番楽しかった。
完璧な人間はいない。
わかっていても、僕から見た先輩は、完璧だった。
だから、先輩から転勤すると聞いて、僕は悲しかった。
先輩は近くの別店舗で勤務後、僕が働いている店まで来てくれた。
僕には直接伝えたかったと言ってくれた。
悲しむ僕を見て、寂しがってくれて嬉しいと言ってくれた。
一生忘れないでいたいと思った。
転勤は仕方ないことなので、すぐに割り切ることができた。
それよりも、僕のための言動すべてが、嬉しかった。
些細な場面だから、文章にしないと忘れそうだったから。
忘れたくないと思ったことさえ、忘れてしまいそうだったから。
瞬間の感情を大切にすること、日記にはそれができる。
完璧な人間はいない。
でも、誰かの完璧になることは、できるかも知れない。
そのためにまずは、自分を諦めないことから始めてみようと思う。
と考えながら8時半に寝た。
短い1日だったなあ。
読んでいただきありがとうございます。